ティーンエイジャー向けの小説とされているものの、文章に大仰なところはまったくない。雪が積もって妙に静かな外の景色にぴったりくる本でした。2009年De Gouden Uil(ベルギーの文学賞)、青少年文学部門読者賞受賞作。
Els Beerten, Allemaal willen we de hemel, Querido, 2008, ISBN: 978 90 451 0619 9.
内心わたしは、多言語話者を受け入れることがどうしてもできなかった。なんといっても、いくつものことばを知っていると自慢する連中はほら吹きのように思われた。どんな人間だろうと、たくさんの外国語をわけへだてなくしゃべる能力があるはずがない。あえてそんなことをするのは不健全な行為であり、精神が不安定になるに決まっている。(13ページ)
言語は歯ブラシと同様、各人が自分の物だけを口に入れるべきである。衛生上の、礼儀作法の問題だ。他言語が持つ細菌に感染するのは危険だ。細菌が脳の毛細血管に侵入して本来の体液と混ざり合い、神が予期しなかった混沌が生じたらいったいどうなるだろう。(14ページ)