2009年10月28日水曜日

新型インフルエンザ、「軽度の」流行

オランダ国立公衆衛生・環境研究所(RIVM)が、国内で新型インフルエンザが「軽度に」流行している発表したのは先週金曜日(10月23日)。Ab Klink保健相が今朝テレビ番組でコメントしたところによると、現在1日10人が新型インフルエンザで入院しており、そのうち1人は集中治療室に入っている状況。

オランダが発注したワクチン3,400万回分のうち、現在入手しているのは700万。11月中にはさらに300万が届くと見込まれているが、残りは年明けになる予定。目下、ハイリスクグループ(妊婦、60歳以上の者、糖尿病患者、肺・心臓疾患のある者)に子どもを含めるかどうかを急ぎ検討中。ただし、対象となる年齢層が広い場合にはワクチンが不足するため、優先順位を見直す必要もあるとのこと。

オランダでは通常、検査や入院の設備がある病院に行くには、まずホームドクターにかかる必要があります。こう考えると、1日に10人も入院というのはかなりたいへんなこと。身近なところで感染のニュースはまだですが、それも時間の問題かもしれません。

2009年10月14日水曜日

エコなエコへの道:The Green Guide for Business

ひとことでいうと、エコ(ecology)とエコ(economy)を両立させるための指南書。事業の規模によらず、環境にやさしい企業行動が2009年のイギリスでどのように実現可能かを説明した本です。

表紙の裏には、最初のステップとして10の"quick wins"が。短期間で結果が出る改善案といいつつも、紙の使用見直しや冷暖房の調整といった、まあ「ありがち」なものから、エコドライビングや出張の必要性を再検討するといったことまで含んだリストです。こういった改善の大前提となるのが、事業としてのカーボンフットプリントの算出。二酸化炭素の排出量をできるだけ減らすために、事業として何がどの程度できるのかを、具体的な数字や例を豊富にはさみながらみています。

読者のターゲットはたぶん、企業の管理職。環境プロジェクトに直接かかわってはいないものの、それなりの知識と認識を求められるような立場の人が、現状を把握するために読む、というかんじでしょうか。

アプローチが違う本ですが、以前読んだCradle to Cradleは、考え方としてはともかく、実際にどう使うかが見えてきませんでした。こちらはずっと現実的なレベルの話が展開されていて、ある程度は先を見通せる安心感があります。不況をうけて、企業の環境問題に対する取り組みが縮小・後回しになることをふまえて出版された本でもあり、特別大きな投資をしなくても効果が出る方法を紹介し、実践につなげていく意識を固めたいという著者の考えが透けて見えます。

Chris Goodall, The Green Guide for Business: The Ultimate Environment Handbook for Businesses of All Sizes, Green Profile, 2009, ISBN 978 1846 6887 44.

2009年10月7日水曜日

Gouden Griffel 2009

Kinderboekenweek(子どもの本週間)のはじまりにあわせて、Gouden Griffel(金の石筆賞)が発表されました。オランダ語の児童書を対象とする文学賞です。

今年の受賞作は、Het geheim van de keel van de nachtegaal。フラマン語作家Peter Verhelstが、アンデルセンの童話『小夜啼鳥』を翻案した作品です。Verhelst(1962 - )は、詩集やおとな向けの小説などを発表しており、これが初めて手がけた児童書。なお、この本は、すでに今年のWoutertje Pieterse PrijsとGouden Uil Jeugdliteratuurprijs(どちらも児童文学賞)を受賞しています。

Carll Cneut(1969 - )のイラストは、とても静かで、それでいて力強い。ふんわりかわいい雰囲気はまったくありません。このちょっとこわいようなかんじ、『モチモチの木』(作:斉藤隆介、絵:滝平二郎、岩崎書店)のあの切り絵の世界を思い出しました。

児童書というよりも、これまでオランダ語ではあまりなかった「おとなが読む子どもの本」になっています。

Peter Verhelst, Carll Cneut, e.a.: Het geheim van de keel van de nachtegaal, De Eenhoorn, 2008, ISBN 9789 0583 8507 9.



2009年10月2日金曜日

年金改革協議:ポルダーモデルの行き詰まり

老齢年金(AOW:Algemene Ouderdomswet)の支給開始年齢(=法定退職年齢)を現在の65歳から67歳に引き上げたい政府に対して、労使側が代替案を出すために春から続いていた協議が決裂しました。

使用者側は、高齢化が進む中、労働力の安定的な確保のためにも段階的な引き上げを行うべきと主張。一方で労働組合(春と秋の政労使三者協議に参加している3組合:FNV、CNV、MHP)では、意見が統一できなかったようです。FNVとMHPは65歳以降の就労を制度として義務づけることには反対。CNVは67歳までの引き上げも検討するという姿勢を見せましたが、まず高年齢労働者と女性が65歳まで働き続けられるようにすることを条件としました。(実際のところ、オランダでは、抜け道のようなものも含めて制度的に早期退職が可能。65歳を待たずに引退するのがむしろふつう)FNVとMHPも、現行の退職年齢までの労働力率を上げる施策と、65歳以降も働きたい人は働ける制度を設けることを求めていました。

半年にわたる交渉が結局物別れに終わったことで、ポルダーモデル/オランダモデルのメカニズムが機能しないことを示す例がまたひとつ増えました。メディアへの対応を見ていると、政労使の合意どころか話し合いのテーブルにつくことができていたのかさえ疑問です。政府は当初の改革案をすすめる構えですが、労働組合側はすでに具体的な抗議行動を検討しているとのこと。来年3月の地方自治体選挙をみすえた政党のかけひきもあり、まだまだ後を引きそうです。