2016年3月31日木曜日

ネット書店大手に抵抗する出版社の言い分


オランダのネット書店の草分けで最大手のBol.comが、もともとは文芸雑誌Das Magazinを発行していて、去年の後半から書籍の出版を始めたDas Mag社(Das Mag Uitgevers)の書籍の取り扱いを突然中止したそうです。Das Magの設立者の1人がウェブサイトに事情を説明する文を掲載したことで、話題になっています。

雑誌のみの頃から作家を交えた読書会イベントを開催し、しかもそのチケットがすぐに売り切れてしまったりして、とんがった方向性で注目されていたグループが立ち上げた出版社Das Mag。一口50ユーロで3,000人の「共同設立者」を募り、自社のウェブショップでは紙の本と電子版をまとめて販売、さらに著者の印税率を上げることを公言…と、新しい方向を目指しているらしいことは明らかでした。

Bol.comでは、Das Magの紙の本だけを扱う契約だったようです。それ自体に問題はなかったのでしょうが、年が明けて、Das Magが出したLize Spitという新人作家のデビュー作がベストセラーリスト入りしたタイミングで、Bolは新しい「協力契約書」への署名を要求。拒否した場合は「必要な措置を講じる」と迫りました。

新しい契約条件は、Das Magとしては納得できないものでした。Bolの取り分が増える理由を尋ねると、「ウェブショップの最適化」との回答があったそうです。以下サイトから翻訳して引用。
それはふつう営業費用ではないかと。どこかの書店が改装するときに、その費用の一部を−−販売を「最適化」するために−−Das Magが負担したりはしないわけで。だから、条件の変更には同意しませんでした。それで、うちの本はBolから消えたと。
Das Magは、Bolは自社で在庫を抱えないので、売れ残りのリスクを負うほかの書店よりも、むしろ取り分が低くなるほうが実は筋が通っていると指摘して、こう続けます。
オランダとベルギー・フランダースには、うちの本を扱っている書店がたくさんあります。 どこもがんばってくれていて、順調に売れています。なぜそう言えるか。書籍売り上げのうち、Bol経由はわずか2.65%。一般的に考えられるよりもずっと少ないんです。
売れるポテンシャルのある作家を抱えていて、強く出ても大丈夫という読みもあるのでしょうが、Bolとしてはどう収拾を図るのか。いまのところ「遺憾」「協議を続けたい」というコメントしか出ていません。