2007年11月26日月曜日

World Press Photo

毎年11月に近くの図書館で開催される巡回展、今年も行ってきました。戦争の場面、実際に写ってはいなくても武器や暴力の存在/介在がうかがえる写真がほとんどの中、雰囲気の違う、でも私にとってはなんとも見慣れた光景がありました。
Daily Life/日常生活の組写真の部で1位に選ばれた作品で、David Guttenfelderというアメリカ人がとらえた東京のサラリーマンの『日常』。電車の中の疲れた顔、木にもたれかかった酔っぱらいのそばを足早に通り過ぎるスーツ姿の男性...。日本の都会ではあたりまえの場面でも、切り取ってみせる行為が報道写真として評価されるということは、何かを伝える力を持っているとみるべきなのでしょうけれど、その主張は汲み取れませんでした。
あまりにも身近すぎるとそれを気にすることなどしなくなってしまうから?
当然のように受けとめていることでも、ときどき立ち止まって考えをめぐらせてみるとおもしろいかもしれません。

World Press Photo Winners Gallery 2007
Daily Life / Stories 1st がGuttenfelder氏の作品です。

2007年11月21日水曜日

中国の翻訳者不足



ベルギーの語学関係者向けニュースレター Language Magazine 10月31日号の掲載記事から。

人民日報によると、中国では翻訳者の不足が深刻化している。
少なくとも10万人の需要に対し、翻訳専攻の大学卒業者は年間1,000人ほど。
英語学科が設置されている大学・教育機関は全国で500以上にのぼるが、翻訳についての授業はほとんど行われていない。翻訳の専門課程を有すると認められる大学は16にすぎないという。

10万人って、すごい数ですね...。どうやって出てきた数字なのか知りたいところです。
翻訳を専攻したからといって翻訳者になる/なれるとは限らないし、別のルートで翻訳の世界に入る人もいるでしょうから、大学卒業者うんぬんというのはあまり関係ないような気もします。ニュースレターの読者層 —意外に学歴重視の傾向が強い— にあわせた書き方なのかもしれません。

アンネの栗の木 (2)

先週の時点では今日予定されていたアンネの栗の木の伐採ですが、反対派が提起した簡易裁判の判決が昨夜下り、当面中止となりました。「市当局はあらゆる可能性を検討すべき」との理由で、反対派が8週間以内に提出する代替案を含めて再度方針を決定することになるようですが、はたして...。

反対派は月曜日に独自の引張り試験を行って、強風ですぐにも倒れるような危険はないとの証拠を揃えたうえで、翌日の裁判に臨みました。ただ、伐採のニュースを聞きつけた国内外のメディアが注目する中でのパフォーマンスという意味合いも否定できないでしょう。

先週土曜日の新聞では、実はAnne Frank Museumを運営する財団も伐採を望んでいる、というような記事も。反対派のコメントをまとめただけですが、建物の拡張計画や今後の経営上、財団にとっては大木が切り倒されてしまった方が「都合がよい」らしく。

8週間というと来年の1月半ば。聴聞会その他の手続きを経て市当局の判断が下るのは3月くらいでしょうか。冬の嵐の被害がないことを祈ります。

2007年11月14日水曜日

アンネの栗の木、伐採が決定

『アンネの日記』に登場する栗の木が、来週水曜日に伐採されます。
この大木(樹齢150年とも)、カビにやられて弱り、倒れる危険が出てきたことから、去年伐採許可の申請が出されていました。ただ、これに反対して保存運動を始めた人たちがおり、このグループからの代替案待ちとして作業実施の決定は先送りにされていたのです。
ところが、最新の調査で健康な部分はわずか28%しかないことが分かり、救済案を待たずに切り倒すことに。跡地では、接ぎ木のかたちで同じ木を育てるそうです。

地元アムステルダムのテレビ局はこの模様を朝7時から中継で伝えるとか。
Anne Frank Museumのサイトでもこのニュースは発表されています。こちらではオランダの子ども向けニュースHet Jeugdjournaalの一部が英語の字幕付きで見られます。

2007年11月12日月曜日

手紙の効用


先週のこと。
スタート日の前夜にホテルに到着。チェックインしたところ、「メッセージをお預かりしています」
会議の資料かな、今から目を通すとなると大変だな、と思いながら封筒を受け取り、部屋に入って開けてみると...。
翌日から通訳させていただく方の秘書の方からのお手紙が。
わざわざ時間を割いてお手紙を書いてくださったのでした。びっくり、でもうれしかった。
ちょっと不安になるような情報もありましたが、それでも何も知らずに現場に行くよりはずっとマシ。なによりも、2、3日という短い期間にもかかわらず、一緒に仕事をする者だと認めていただいたようで、ひじょうに心強かったです。
通訳としては不安は取り越し苦労に終わり、あたたかい気持ちで仕事を終えることができました。

私自身、以前ほどには手紙など書かなくなってしまっています。カードの買いおきはたくさんあるので、また復活させましょう。

2007年11月2日金曜日

オランダ語文学 電子図書館

オランダの郵便局TNTから、「クリスマスカード用切手をご注文ください」というダイレクトメール(封書+メール)が。もうそんな時期なんですね。いやはや。

オランダ語文学の電子図書館、最近更新されたそうです。仕事に直接役立つことはなさそうですが、のぞいてみました。
Degitale Bibliotheek voor de Nederlandse Letteren (DBNL)

中世から現代までのオランダ語学・文学に関するデータベース。作品・文献によってはそのまま収録されています。
特におもしろいのは児童文学。もちろん挿絵つき。

1798年発行というAlmanak voor de beschaafde jeugd voor het jaar 1799(『よいこ年鑑1799年版』?)には友達同士の手紙のサンプルまで載っています。綴りや言い回しが今とは違うのはともかくとして、この子たち、年齢的には10歳くらいのはずなのに、とてもきちんとしたオランダ語を書いているのにびっくり。

1799年って日本では江戸時代ですけど、当時子ども向けのこんなタイプの本はあったのでしょうか?