2008年1月31日木曜日

オランダ語と日本語

翻訳・通訳をしてます、と言うと、私が日本で生まれ育った日本人だと知っていながら「何語の?」と聞く人がいます。へんな質問だな、聞き間違えたかな、と 思いつつ、え、だから軸は日本語で、オランダ語と英語、ほんの少しドイツ語も...などと少し小さな声で答えること数回。ようやく、これは後に続く質問の前フリだということが分かりました。
「日本語って、仕事があるの?」
ないでしょう、あるはずないよね、という聞き方。いやまあそれなりに、とかなんとか答えて流してしまいますが、これだけ日本の製品やアニメが入っていても、まだまだ遠い国なんだと感じる瞬間です。

日本からいらした方からも聞かれます。「オランダ語と日本語って、そんな仕事あるの?」たしかに、オランダではどこでも英語が通じるし、観光やビジネスでの短期滞在でオランダ語ができないと困ることはまずありません。私が通訳としてうかがう企業でも、休憩中はともかく、ミーティングは英語で進めるケースがほとんど。純粋にオランダ語と日本語の通訳となると、工場でラインの人たちと話すとか、ネイティブが 50人の会議や講演に日本人が1人か2人参加する(あるいはその逆)といった場合でしょうか。

一方翻訳では、意外にいろいろな案件があります。オランダ語 > 日本語なら、公文書や裁判関係の書類から、報告書、パンフレット、新聞・雑誌の記事。個人のお手紙や歌詞まで。専門分野を決められるほどの需要はないとはいえ、興味と調べものをする時間+根気があれば、経験分野を積み重ねていけます。それに、オランダ語/日本語に関しては、ヨーロッパでもネイティブ言語への訳出にはそれほどこだわらないようです。稀少言語であること、日本語を読みこなせるネイティブが少ないことを反映しているのでしょう。そんなわけで、オランダ語への翻訳もお受けしています。ビザ申請用の証明書にはじまり、作業手順、社是や専門誌の記事要約というのもありました。いわゆるビジネス文書は、通訳の状況と同じように英語 < > 日本語となることが多いです。

「で、仕事あるの?」実は昨日も聞かれました。日本人の方だったので、ええまぁ、と笑っておきましたが、日本にいるとオランダ語なんて耳にすることもないし、これはこれで当然の質問だと受け止めたのでした。

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