12月2日、違憲法律の審判提起を可能にする法案が上院で可決されました。
オランダでは、個人の権利の保護に関して違憲審査の制度がありません。というより、裁判所が違憲性の判断を行うことは憲法で禁じられています。基本権の侵害にあたって現在唯一の救済手段は欧州人権裁判所の判断を仰ぐこと。欧州人権条約が発効した1953年以来、この裁判所がオランダ政府の人権侵害を認定したケースは50件以上あるとか。審理に少なくとも5、6年かかることを考えると、年に1回は何かあるということになります。欧州条約が定める基本権はオランダ憲法が想定しているものよりも範囲が狭いといわれていますが、最近では新しい法律を制定する際に、憲法よりもまず欧州人権条約とのからみで問題がないか検討する傾向が強まっているそうです。
可決されたとはいえ、すぐに制度導入に着手とはならず、次期政権のもと再度上下両院での採決に付されます。憲法を修正する法案であるため、今度はいずれも3分の2の賛成が必要。
この法案はGroenLinks(緑の党)のHalsema党代表・下院議員代表が提出したもので、最初に下院を通過したのは前内閣時代の2004年。このときは与党CDAを除く政党はすべて賛成(1人会派の1議員は棄権)。が、今回はCDAに加えてVVD(前内閣では連立与党、現在は野党)とSGP(プロテスタント政党)も採決に先立って反対を表明、2004年には法案を支持していた内閣も否定的な姿勢を見せて、連立与党のパートナー2政党(PvdA、ChristenUnie)が鍵を握る状態になっていました。結果、賛成37、反対36で可決したものの、数年後の再審議を切り抜けられるのか、予想がつきません。
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