第二次大戦中、ドイツ軍に接収されたユダヤ人の家を売って富を築いた不動産業者の存在が裏付けらたというニュース。詳細は歴史問題を扱う雑誌Historisch Nieuwsbladに掲載(HN nr. 09/2008)。
オランダ国立公文書館とアムステルダム市が保存する資料を用いて、ドイツ占領下の不動産市場の状況を調査。ドイツ軍はおよそ20,000件にのぼる家屋敷をユダヤ系の市民から接収、オランダ人不動産業者を介して売りに出した。うち売買契約が成立したのは少なくとも9,000件。買い手の多くは秘密裏にドイツ軍に協力して収入を得ており、この不動産投資でマネーロンダリングをするかたちになった。
ユダヤ人財産の法的権利回復については美術品の返還をめぐる話が以前ありましたが、今回の記事は、こうして私腹を肥やした者が実際にいたこと、またこの事実は戦後補償の枠組みの中で議論されていない点を指摘するもののようです。調査を行ったEric Slot氏がニュース番組の取材に答えていました。当時、ローンの返済に空白期間があると所有権の主張は認めないという法律?があったそうで、資産を没収されていて返済のしようがなかった人たちに対して、これを理由に返還は請求できないと説明していた場合があったとか。
また、別の報道によれば収容所を生き延びた本来の所有者やその家族に屋敷が返還されたケースも示談による解決がほとんどで、取り引きに関わった不動産業者らは責任を問われていません。Centraal Joods Overleg(ユダヤ人中央協議会)は賠償請求の可能性を検討するとコメント。ただし、誰に対して請求を行うことになるかは現時点では明らかではありません。
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