2007年6月21日木曜日

18歳、収容所の日々

2004年秋、オランダ南部のVught収容所に抑留されたユダヤ人少女が書いた日記の発見が発表されました。
日記の書き手は、18歳の高校生Helga Deen。1925年にドイツで生まれ、1933年から家族とともにVughtに近いTilburgで暮らしていました。

日記は、Deen一家がVughtに入った1943年6月1日に始まり、中継収容所Westerborkに移送された7月2日で終わっています。この後一家はポーランドの絶滅収容所Sobiborに送られ、7月16日には殺害されたとのこと。
Helgaは、知り合って半年ほどのボーイフレンドに呼びかけるかたちで、収容所での経験を書き綴りました。この日記—化学の授業用ノート—は、このボーイフレンドのもとに届けられ、2001年に彼が亡くなるまで、家族にも知られずに保管されていたのです。

Dit is om nooit meer te vergeten: Dagboek en Brieven van Helga Deen 1943 (Uitgeverij Balans, 2007)は、この日記と、同時に発見されたHelgaの交友関係を示す手紙、当時の写真などの資料をまとめた本。明日に夢をつなぐのではなく、かといって何もかもあきらめて放り出してしまうのではなく、とにかく思いを書き留めることで日々を生きようとする姿が浮かび上がります。

1 件のコメント:

Jos さんのコメント...

先日 Vught収容所資料館の見学に行ってきました。その日は写真にあるような澄み切った突き抜けるような青空の日でしたが、それとは対照的に気持ちは暗く重くなったものでした。でも、歴史事実をきちんと認識し、正しく後世に伝えることは大切なことです。Jos