2008年7月30日水曜日

ひとり会社をつくる

フェロー・アカデミーが母体になって運営している翻訳者のネットワーク、アメリア。会員向けに翻訳関係の求人情報も提供していますが、ドイツ語やオランダ語の案件なんてめったにないので、私はもっぱら情報源として利用。「ん? これっていいの?」と思うことがないわけでもないけれど、日本での翻訳関連の話が自分から探さなくても入ってくるのは便利です。

ウェブとメール配信以外に、トライアルの講評やコラムを掲載したAmeliaという冊子も毎月出ています。その冊子で近く海外在住の翻訳者を特集するということで、声をかけていただきました。

役に立つところがあるのか?と思いながら質問事項に答えたところ、追加の問い合わせが。翻訳・通訳を仕事にするようになってから、わりとすぐに「ひとり会社」をつくったことについてでした。「ひとり会社」とは、オランダ語のeenmanszaakにあてた言葉。これはひとつの事業体ではあっても、起業した個人とは別の法人格を持っているわけではありません。原語をそのままカタカナにするとワンマンビジネスとなるので、商慣習というか、運用とその解釈の面で多少違うところがあるとはいえ、やはり「個人事業者」がおそらくいちばん適当な日本語でしょう。オランダの商工会議所に商業登記するにあたって、いちばん小さい事業の単位です。

この7月に法律が改正されて、翻訳・通訳業についてはこれまで任意だった商工会議所への登録が義務になりました。法律改正のニュースを知った時、早く済ませておいてよかった!と思いました。事務的な部分でわからないところの答を探しながら、自分なりの処理パターンを組み立てていく時間的余裕は—ありがたいことに—最初の頃ほど取れませんから。

商工会議所への登録とはまた別に、オランダで雇用者としてではなく仕事をして一定額以上の収入を得る場合には付加価値税番号の取得も必要で、これは税務署の管轄になります。税務署関係の話はいろいろ複雑で、気分の悪い思いもしつつ、少しずつ楽にできる方法を作ってきました。いずれにしても、オランダの税法はいわゆるフリーランスや週末起業といった新しい働き方には追いついていない部分が多く、突き合わせると矛盾が出たり、誰に聞いてもはっきりしないところがあるのは確か。結局は担当者の判断次第となるわけですが、これは税務署に限らず、オランダの(特に)お役所一般に言えること。そんな状態でも回っているらしいのが、いつもながらまったく不思議です。

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