2014年6月4日水曜日

ヨーロッパ文学賞ショートリスト


「オランダ語に翻訳されたヨーロッパ文学賞(Europese Literatuurprijs)」のショートリスト5作品が発表されたのでメモ。
  [著者、オランダ語版タイトル(原書タイトル、言語)、翻訳者、出版社の順]

  • Jesús Carrasco、De VluchtIntemperie、スペイン語)、Arie van der Wal、Meulenhoff
  • Jérôme Ferrari、De preek over de val van RomeLe Sermon sur la chute de Rome、フランス語)、Jan Pieter van der Sterre & Reintje Ghoos、De Bezige Bij
  • Edgar Hilsenrath、Fuck AmericaFuck America、ドイツ語)、Elly Schippers、Anthos
  • Ismail Kadare、Het reisverbodE penguara、アルバニア語)、Roel Schuyt、Van Gennep
  • Tomek Tryzna、Bleke NikoBlady Niko、ポーランド語)、Karol Lesman、De Geus

2011年に創設されたこの賞も今年で4回目。受賞作の著者と翻訳者に賞金が与えられます。最初(→ブログで紹介)は著者に1万ユーロ、翻訳者に2,500ユーロだったのですが、昨日の新聞記事によると翻訳者の賞金が倍の5,000ユーロになっていました。発表は9月の初めです。

2014年4月9日水曜日

ウィルダースPVV党首の「モロッコ人」発言をめぐって

3月19日の全国自治体選挙の投開票日の夜。ハーグ市の慰労パーティーでお祭りムードの中演壇に立ったウィルダース党首は3つの質問(「政党PVVを定義する質問」)を聴衆に投げかけました。
—この街、そしてオランダで、君たちはどちらを望む?
 その1:EUを増やすか減らすか。           聴衆:「減らす!」
 その2:PvdA(労働党:連立与党)を増やすか減らすか。聴衆:「減らす!」
 その3:モロッコ人を増やすか減らすか。        聴衆:「減らす! 減らす!」
 (「減らす!」が16回響いた後で)
—わかった、だったらそうなるようにしよう。

ウィルダースはこの前の週、応援演説の最中に「モロッコ人は少なければ少ないほどハーグの街のため」と発言し、批判されると報道陣の前でもう1回繰り返して波紋を呼んでいたのですが、このニュース(と映像)が流れると大騒ぎになりました。翌日から、前代未聞の告訴・告発が続き、警察の窓口もパンク状態。先週やっと発表された暫定集計では5000件超。これとは別に、ウェブ上でできる差別に関する届出も15000件以上あるとのこと。起訴・不起訴が決定するまではまだしばらくかかるようです。

そもそも起訴に持ち込めるのか。起訴するにしても、何についての審理になるのか。専門家の間でも意見が分かれています。2011年、ウィルダースのイスラム教批判がヘイトスピーチにあたると提起された裁判では、宗教への言及は表現の自由の範囲内であるとの判断が下ったのでした。しかし今回は、(程度の差はあれど)個人が選択できる宗教ではなく、「モロッコ出身」という自分では選びようのない事実についての発言。反響の大きさもさることながら、対応がまずければ検察の信頼性も揺るぎかねません。

[メモ]
オランダの刑法で規定されている刑罰
人種、宗教または信条、性別、性的志向、身体・精神・知的障害を理由に、
ある人に対して公共の場で憎悪や差別、暴力行為を煽る表現を行う(第137d条)
ある人々の集団に対して公共の場で故意に侮辱的な表現を行う(第137c条)
者には最長1年の懲役または罰金、
職業上または慣習的にこれを行う者、もしくは結社には最長2年の懲役または罰金。

2014年2月12日水曜日

出版企画支援サイトTenPages、活動を停止


出版に特化したクラウドファンディングのプラットフォームTenPages.comが、2月7日に活動停止を発表しました。2010年2月のスタート時にはかなり注目され、ここが発端となった話題作もありましたが、さまざまな作品を制作者につないで利益を出し続けるというところが厳しかったのかもしれません。

TenPagesは、いわゆる「投資型」のファンディングでした。作家デビューを目指す人が出版したい作品の原稿を少なくとも10ページ公開し、1口5ユーロで出資を募ります。4カ月以内に2,000口(=10,000ユーロ)集まるとパートナーである複数の出版社に企画として提案、首尾よく書籍化されれば、出資者は書籍の販売利益から配当を受け取るというしくみ。活動停止を知らせる創業者のコメントによると、4年間に公開された原稿は2,124本、うち66作品が実際に書店に並んだとのこと。

昨年夏にはTenPages Specialsという新しいビジネスモデルも提案していました。こちらはすでに知名度のある人を対象としたプラットフォームで、出資者には金銭のリターンではなく、出版物やアプリ提供、あるいはワークショップ参加などを想定。しかもこれはパートナー出版社に回さず、自前で発行・販売する方法を考えていたようです。昨年末の創業者インタビューを観ると、業界のシステムを変える新規参入の挑戦のはずでしたが……

動いていたプロジェクトがどうなるのかは、いまのところはっきりしません。よくTVに出ている男性のモデルがクラシック音楽のガイドブックを出すプロジェクトがありましたが、これはどこかの出版社が手を挙げるでしょう。そんなケースではなく、本来のTenPagesで「続きを読みたい」と作品を支持した人たちの気持ちを無駄にしない解決策をまとめてほしいところです。


付記:この後、2月25日に破産手続きが開始されたというニュースがありました。


2014年1月21日火曜日

オランダの図書館で電子書籍の貸し出し開始 [メモ]

今朝のニュースから。

オランダの図書館のネットワークで電子書籍の貸し出しサービスが今日から始まる。ウェブサイトBibliotheek.nlに図書館の利用証の番号を登録すればデータが取得できる。貸出期限は3週間。利用料は当面無料。ただし4月以降は刊行から3年以内の書籍については20ユーロで18冊分のアクセス権を買うシステムになる…

貸し出し1件ごとに出版社に支払われる使用料が紙の本よりも電子書籍の方が高いとか、「タイトルごとのアクセス件数に制限があるため、紙の本と同じように『貸出中』となる場合もある」と書いてあるニュースも見かけましたが、いまのところ詳細は不明。何か見かければ追記します。


2014年1月6日月曜日

2014年

あけましておめでとうございます。

楽しいことを楽しむ。
呼んでくれる本を読む。
そしてなにより、元気でいる。


オランダは例年にない暖かさ。
この国で日々の気温が記録されるようになったのは1901年だそうですが、今日は観測史上最も暖かい1月6日となるとか。平均気温5度前後、雪が積もっていてもおかしくない時期。なのに日差しも柔らかく、お昼すぎの時点で13度を超えています。






2013年11月30日土曜日

You are just a waiter

BBC Newsのサイトで、フィンランド出身の指揮者エサ=ペッカ・サロネンの記事を見かけました。ロンドンのフィルハーモニア管弦楽団(The Philharmonia Orchestra)の首席指揮者で、作曲家でもあります。

"Esa-Pekka Salonen: 10 tips to becoming a conductor"
  By Alison Feeney-Hart
  30 November 2013

「指揮者になるための10のTips」、インタビューを元に構成した文章でさらっと読めたのですが、その中になんというか、ぐっときた項目がひとつ。
4. Accept that you are just a waiter 
The composer is the chef and conductors are the waiters. Both are totally honourable professions but we have to accept that if I conduct a piece by Beethoven, I'm just a waiter. I might be head waiter, but waiter none the less and I am there to make sure the food comes to the table on time and intact.
キッチンから出てくるものをきちんと届ける仕事。訳することも同じ。いつもおいしいものとは限らないにしろ、そのまま味わってもらえるように工夫を続けるのです。

2013年10月29日火曜日

AKO Literatuurprijs 2013

オランダ語圏で民間がスポンサーの文学賞としてはいちばん長く続いているAKO Literatuurprijsの発表が昨日ありました。今年の受賞作は子どもの本の作家・詩人でもあるJoke van LeeuwenのFeest van het begin。18世紀末の革命に揺れるフランスが舞台の物語とのこと。

最終選考には次の6作品が残っていました。
  • Martin Bossenbroek - De Boerenoorlog - Atheneaum-Polak & Van Gennep
  • Jan Brokken - De vergelding - Atlas Contact
  • Wouter Godijn - Hoe ik een beroemde Nederlander werd - Atlas Contact
  • Joke van Leeuwen - Feest van het begin - Querido
  • Ilja Leonard Pfeijffer - La Superba - De Arbeiderspres
  • Allard Schröder - De dode arm - De Bezige Bij

ちなみにDe Boerenoorlogは先日歴史ノンフィクションの賞(ロングリスト)を受賞しています。