2012年1月19日木曜日

オランダ語の字幕

思ってもみなかったつながり方で、オランダ語の字幕翻訳の仕事をのぞかせてもらいました。

きっかけは、字幕翻訳者さんのツイートがRTで回ってきたこと。「日本語のできる人にちょっと聞きたいことが...」というのに「いますぐじゃなければお手伝いできるかも」と連絡してみたところ、メールでのやりとりに発展。

日本映画を英語字幕からオランダ語に訳しているのだけど、ここの意味が通らない。わかる? どうして唐突にこんなセリフが出てくるの? という質問に順番に答えていたら、「ほかにも気になるところがあるし、全体をみてもらえるとうれしい。クライアントにも話を通して、予算もつけてもらったから」と。こんなことってあるんだ...と思いながら、やらせてください、とお返事しました。

で、英語の字幕がついた映像ファイル、それからオランダ語の翻訳はワードで到着。SSTなんて持ってないので、要確認のところは字幕の番号じゃなくてタイムコードでリストアップしてもらって、なんとか私なりに作業できる状態に。

字幕の翻訳は、ちゃんとしたかたちではやったことがありません。ずいぶん前、プレゼンテーションのビデオやPRの映像に多言語の字幕というか、説明をつけるといった案件が続いたことがありました。そのときに要求されたのは「とにかく見た目の長さを同じに」ということ。いまやツイッターで一目瞭然ですが、日本語は1文字あたりの情報量が多い。で、このときは漢字でコンパクトに表記できることをカタカナにしたり、読みづらくなるのを承知で最終加工をしたのでした。まったく逆方向の作業ですよね。テレビ番組の一部を翻訳したこともありますが、これは字数は関係がなかったし。

文字の情報として何をどこまで出すか、切るか、という判断はいつも難しい。そこに文字数の制限があるとなおさらです。また、この映画は(ベルギーでの公開用に)フランス語でも字幕が入るということで、スペースがさらに限られていました。脚本も何もなしで、数行のあらすじと英語字幕からオランダ語の世界が立ち上がってくるように、簡潔な表現はもちろん、文化的なところも凝縮した1行にする。たいへんな仕事です。私はあれこれ思いつくままに説明を書いていればよかったわけですが、それを汲んで流れるセリフを組み立てる彼女の感覚はすごいと思いました。

公開されたら映画館に行くつもり。楽しみです。


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