2009年12月16日水曜日

フォーサイト休刊

新潮社の雑誌『フォーサイト』が来年3月号で休刊。購読者あてのメールが届いていました。ゆっくりじっくり読む日本語の情報源として楽しみにしていたので、とても残念。少し前に学研の『学習』『科学』休刊のニュースを読んで、なんともな気持ちになっていたところにこの知らせ。

メールには、休刊を決めた理由のその3として「インターネットの普及で、国際政治経済情報を扱う月刊紙の役割が大きく変化したこと」とありました。スピードでは勝てないからこそ、違った切り口の分析を提供する役目を担っているいう姿勢がうかがえる雑誌だと思っていましたが、やはり紙媒体の限界ということなんでしょうか。

こんな状況の中で、読んでくれそうな人がよく見えないオランダ語の本の翻訳などしていていいのかどうか。迷いは深まります。

2009年12月9日水曜日

オランダ絵本の原画展

オランダの絵本作家・挿絵画家の作品展が開催されます。
次の24人の原画が展示されるとのこと。
  1. Dick Bruna
  2. Charlotte Dematons
  3. Harrie Geelen
  4. Annemarie van Haeringen
  5. Margriet Haymans
  6. Wim Hofman
  7. Philip Hopman
  8. Yvonne Jagtenberg
  9. Ceseli Josephus Jitta
  10. Jan Jutte
  11. Joke van Leeuwen
  12. Ted van Lieshout
  13. Martijn van der Linden
  14. Mance Post
  15. Sieb Posthuma
  16. Wouter van Reek
  17. Daan Remmerts de Vries
  18. Ingrid & Dieter Schubert
  19. Thé Tjong-Khing
  20. Marit Törnqvist
  21. Max Velthuijs
  22. Fiep Westendorp
  23. Sylvia Weve
  24. Fleur van der Weel
来年2月まではアムステルダムの中央図書館で、その後はスペイン、メキシコなど数カ国を回るようです。オランダでやっている間にぜひ行かねば...。

An elephant came by: 24 Dutch Illustrators
展示目録の表紙はこちら(NLPVF)で見られます。

2009年12月8日火曜日

地域図書館の小学生向け予約システム

小学生が図書館の本([een] boek)をインターネットで予約(boek)すると、学校経由で受け取ることができる"Boek een Boek"という制度。新聞で読んだのですが、たまに利用する近所の図書館がやっているプロジェクトでした。図書館バスの廃止にともなって地域の小学校向けに始まったもの。補助金による運営でスタートし、10年近くたった現在では各校が一定の使用料を負担するかたちで基本的な費用をカバーしています。

しくみは簡単。
  1. 児童が(学校または自宅から)www.boek1boek.nuで本を検索して予約
  2. 事務局(図書館)が学校・クラス単位で集計
  3. 図書館が予約された本をクラス単位で箱詰め
  4. 各学校に配達(3週間に1回)
  5. 教室で配本
わざわざ出向かなくても図書館の本に触れられるのは、子どもにとっても親にとっても便利。また教室で本を受け取ることで、「読みたい、知りたい」という気持ちが刺激される効果もあるはず。コンピューターの利用が読書の推進にうまくはたらいている例になっています。


2009年12月1日火曜日

スイス国民投票の余波

スイスであった、モスクのミナレット(塔)の新規建設を禁じる法案をめぐる国民投票。否決が予想されていましたが、57%を超える賛成を得て可決されました。法案賛成派のキャンペーンがイスラムの脅威を主張するかたちであったことは明らか。スイス国旗を埋めつくすようにそびえるミナレットと、へジャブで顔を覆った女性の黒いシルエット。整然と並んだ塔はミサイルのように見えなくもなく、不安感をあおるものでした。

国際機関を多く抱え、中立・寛容の国というイメージがあるスイスでこういった結果が出たことは、ヨーロッパの反イスラム政党を勢いづかせることになりそうです。オランダでも、PVV(自由党)のGeert Wildersが、スイスでできたことがオランダでできないはずはない、と同様の国民投票を求めていくと早速発言しています。ミナレットやモスクの建設でなくても、女性のスカーフ着用を禁止・制限するとか、隠れみのにできる争点はいろいろあると思っているのでしょう。PVVは最近さらに支持を集めていますが、この件で国民投票の発議にまでもっていけるのかどうか。信教の自由や表現の自由といわれるものが、社会のあるグループ(「オランダ人」)だけに認められていること、あるいは、あるグループには認められていないことを当然とする主張がどこまで社会に浸透しているのかが、これからの議論で見えてくるかもしれません。

国民投票の結果について、チューリヒのモスクでインタビューに応じていた若い女性は、「ショックです。でももっとこわいのは、私たちの日々の生活に関して『これはいい、あれはだめ』と決めるような風潮が出てくることです」と言っていました。オランダは、すでにそこまで来ているような気がします。