むずかしい言葉を使わずにその場の空気や人の印象を伝えるスタイルが好きで、日刊紙 de Volkskrant のコラムはいつも最初に読んでいました。自身の病気(がん)のことも時々書いてはいましたが、この4月から毎日1面に掲載されるコラムの担当になり、新しいスタートを切ったところ。それが2週間もしないうちにこんなかたちで終わってしまうとは、誰も思っていなかったでしょう。
昨日テレビで観た短い映像。アムステルダムの街を歩きながら、「どうしてみんな下向いて歩いてるんだろう。自分は上を向きたいけど」と一緒にいた誰かが言うと、「悲しいことがあるからね」と答えていました。照れなのか、小さく顔をしかめて。
土曜日の過ごし方、偶然入ったレストランでの顛末、ある田舎街のショーウィンドウでみかけた靴のこと。彼のコラムは、誰にでもあるようなひととき、でもほとんどの人が意識していないようなことを、やさしくすくいとっていました。