2009年4月24日金曜日

訃報:Martin Bril

作家・コラムニストのMartin Brilが亡くなりました。享年49歳。

むずかしい言葉を使わずにその場の空気や人の印象を伝えるスタイルが好きで、日刊紙 de Volkskrant のコラムはいつも最初に読んでいました。自身の病気(がん)のことも時々書いてはいましたが、この4月から毎日1面に掲載されるコラムの担当になり、新しいスタートを切ったところ。それが2週間もしないうちにこんなかたちで終わってしまうとは、誰も思っていなかったでしょう。

昨日テレビで観た短い映像。アムステルダムの街を歩きながら、「どうしてみんな下向いて歩いてるんだろう。自分は上を向きたいけど」と一緒にいた誰かが言うと、「悲しいことがあるからね」と答えていました。照れなのか、小さく顔をしかめて。

土曜日の過ごし方、偶然入ったレストランでの顛末、ある田舎街のショーウィンドウでみかけた靴のこと。彼のコラムは、誰にでもあるようなひととき、でもほとんどの人が意識していないようなことを、やさしくすくいとっていました。




2009年4月17日金曜日

スロウな1週間

ぎゅーっというかんじで忙しかった2カ月間が一段落して、「これをしなきゃ、あれも終わらせなきゃ」という感覚から解放されました。片付けないといけないことはやはりありますが、朝起きて、しようと思ったことを順番にやっていくのんびりペース。

そんな中、昨日かかってきた電話。「通訳の案件があるんですけど...」土曜日から月曜日まで、メインは日本語とオランダ語、とさらさら話しつつも、場所は口にしない。「場所はどちらになりますか」と聞くと、「えっとですね、スキポール空港で合流して、その後フィンランドに行ってもらうことになります」との返事。う〜ん...。去年のクリスマス前には同じパターンでラトビアに、というお話もありました。あ、3月には来週リスボンに行ける?という問い合わせも。
もちろん、声をかけていただけるのはありがたいのです。絶対に行きたくないわけでもない。でも、料金交渉して契約書を交わし、飛行機の手配その他(日本の通訳会社だとコーディネーターさんが考えてくれるところかもしれませんが)プラス会議なり商談なりの準備を1日2日で、というのは無理。そのあたり、どうしてわかってもらえないのかなぁと不思議に思いながらお断りしました。

ちょっと元気になって来週からまた始めます。


2009年4月9日木曜日

A New Green History of the World

Clive PontingのA New Green History of the World: The Environment and the Collapse of Great Civilisations (Vintage, 2007)を読みました。1991年に出たA Green History of the Worldの改訂・増補版。この最初の版は『緑の世界史』のタイトルで日本語版が出ています(翻訳:石弘之・京都大学環境史研究会、朝日新聞、1994年)。

環境との関係という視点で人類史を再構成した本。
新技術の発明は、一般に「進歩」ととらえられる。しかし、人間が環境を変える能力を「磨いて」きた歴史は、欲求を満たすために環境を破壊する方法を次から次へと生み出してきた時間でもある。人間の「足りない」>「新しいものを使う(ための技術を作る)」>「それが足りなくなる」>「また別の新しいものを使えるようにする」の循環が延々と続いてきた結果、現在(の環境問題)があることが、細かいデータを交じえて説明されています。