2014年10月15日水曜日
オランダの再生可能エネルギー:2020年の目標達成は不可能との予測
2013年9月、政府、環境団体、使用者、被雇用者ら40の関係組織が「エネルギーに関する合意(Energieakkoord)」に署名しました。2020年にはエネルギー消費量の14%を再生可能エネルギーでまかなうという目標を掲げ、このために180億ユーロの助成金を拠出し、風力発電の設置を大々的に進めることを約束した文書でした。
オランダは、国土の約4分の1が海抜0メートル地帯で、地球温暖化の影響を考えた対策が行われているといわれています。また風車やどこまでも広がる牧草地といった光景から、いわゆるグリーン電力に力を入れているようなイメージがあるかもしれませんが、実際にはそうでもありません。今年の春に発表されたEU統計局の数値を見ると、2012年の実績でEU28カ国中下から4番目の4.5%。ちなみに残り3国は英国(4.2%)、ルクセンブルク(3.1%)、マルタ(1.4%)で、EU平均は14.1%。
(Eurostat News Release 37/2014 - 10 March 2014: Renewable energy in the EU28)
この合意から1年たった10月初め、進捗状況の報告(Nationale Energie Verkenning、NEV)が発表されました。具体的な成果がまとめられているのかと思いきや、目標達成は無理らしいという結論。2020年における再生可能エネルギーの割合は、予定の措置がすべて実施された場合で12.4%、現状のまま新制度なしに進むと10.6%(9.1〜11.1%)にすぎないというのです。省エネ目標100PJも、順調にいって61PJ、悪くすれば19PJにとどまるとの厳しい見通し。
NEVを作成したEnergieonderzoek Centrum Nederland(ECN、オランダエネルギー研究センター)とPlanbureau voor de Leefomgeving(PBL、環境評価局)は、すでに去年「エネルギーに関する合意」の評価を行った時点で目標の実現性を疑問視していました。しかしその後も方針の再調整はされないまま、今回の報告に至ったとのこと。
再生可能エネルギーの目標は、現内閣の連立合意では2020年に16%となっていたものが3年先送りされ、昨年14%で合意したという経緯があります。とはいえNEVによれば、計画が実施されても2023年の割合は16%に届かない(15.1%)ようです。
環境保護団体は、遅れを取り戻すために実効性のある施策がすぐ必要とコメントしましたが、経済相と使用者団体は、NEV 2014はあくまで中間報告であり、2016年に予定されている(本当の)政策評価を待って対応を検討すると答えました。2016年まで待っていたら現内閣の在任期間が終わってしまうのですが、これまでも不況や産業競争力の低下を理由に具体的な取り組みが先延ばしになってきたことを考えると、それが狙いかと思わなくもないところです。
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