2013年6月28日金曜日

オランダ・ミステリガイド 2013年

毎年5月末に発売となるVN Detective & Thrillergids。前年にオランダ語で出版されたミステリ小説をまとめたガイドブックで、今年で第34号。メインである原著者名アルファベット順の目録のほかに、作家インタビュー、再現ルポなどを収録。オランダのテレビで評判になった北欧発のクライムドラマの影響か、今号には国内外のテレビシリーズを評価したページがありました。

5つ星(満点)の評価を受けた作品は7冊。

  • Tove Alsterdal - Het stille graf(原題:I tystnaden begravd, 2013)- Prometheus
  • R.J. Ellory - Bekraste zielenBad Signs, 2011)- De Fontein
  • Lucretia Grindles - Villa TriesteThe Villa Trieste, 2010)- A.W. Bruna
  • Lars Keplers - SlaapSandmannen, 2013)- Cargo
  • Michael Koryta - De profeetThe Prophet, 2012)- Cargo
  • Derek B. Miller - Nacht in NoorwegenNorwegian by Night, 2012)- Atlas Contact
  • John le Carré - Een broze waarheidA Delicate Truth, 2013)- Luitingh-Sijthoff

「大賞」はル・カレ。去年はデオン・マイヤー、その前はインドリダソンときて、大ベテランが復帰したかたち。The New York Timesに載った長いインタビューが翻訳転載されています。

総評のようなところにおもしろいことが書いてありました。今号の作品リストをまとめるにあたっては、サスペンスの要素とその量についてこれまで以上の議論があった。結果として、ミステリと銘打った作品であってもサスペンスの要素が少ないものはリストから外し、逆に「文学的 literair(日本語の「純文学」に近いニュアンス)」小説のジャンルからも優れたミステリとして読めるものを追加したと。該当する作品名は特に挙げられていませんが、いまのところ、目録でタイトルの後にある「探偵」「警察」「スパイ」「サイコスリラー」といった区分のなかでよくわからない「文学ミステリ」の範囲がさらに広がったということと解釈しています。

気になったのはコロンビアの作家Antonio UngarのDe presidentskandidaatTres ataúdes blancos, 2010)と、ヴェネチア生まれのAlberto OngaroによるDe burg van de verlatingIl ponte della solita ora, 2006)。こうやって読みたい本リストが長くなっていくのです。

VN Detective & Thrillergids
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