オランダは先週北京で開催されていた国際ブックフェア(BIBF 2011)のゲスト国でした。言論の自由を第一とするオランダが検閲や人権の制限を公然と行っている中国でゲスト国となることをなぜ選ぶのかという批判、また大勢の作家や文化関係者が(夏休み前に文化予算大幅カットを公言した大臣たちと一緒に)派遣され、公式行事に出席することは許しがたいといった意見が出ていたところに、ブックフェアにからんでオランダ側と連絡を取った中国人の作家が自宅軟禁されたというニュースが伝えられたり、オランダ国内での関心は高かったようです。
土曜日のde Volkskrantに、オランダ文学基金(Nederlands Letterenfonds)の代表、Henk Pröpper氏の短い文章がありました。肯定的な印象を伝えるのはまあ当然ながら、ビジネスの成果に触れているところがおもしろい。歴史・哲学書の出版社Historische Uitgeverijはなんとすべての出版物について、児童書のLeopoldも子ども向けのシリーズ複数で商談成立。ファン・ゴッホ美術館はゴッホの書簡集の権利に関して、オランダの出版社としては歴史上最高額の契約を結んだとのこと。今後の総括や実質的な評価はふつうの新聞などでは伝わらないでしょうが、翻訳出版の動向とあわせて気にしておきたいところ。
なお、オランダパビリオンのウェブサイトOpen landscape - Open bookでは関係者のブログが読めます(英語と中国語)。そのなかで、China Reading Weeklyの記者Kai Kang氏の投稿「オランダの出版社のみなさんへ:中国の出版市場進出に関する7つのルール」が秀逸。
If there’s sensitive content in your book, you’d better choose a big publisher, whose editors would more experienced and more skillful, that is: sensitive content could be retained more.ですって。そういうことをしないことも含めて「言論の自由」を掲げているのだと思いますが...。