2010年11月23日火曜日

オランダ語・ヤングアダルト文学賞

"jongerenliteratuur"は、オランダ語として一般にはまだ新しく、多少おさまりの悪い言葉のようです。単語として聞けば児童文学と大人向けの作品の間に位置づけられる文学と想像はできますが、例えば書店で専門のコーナーがあるかというと、そこまではいっていません。

先週、このジャンルを対象とした文学賞が創設されたというニュースがありました。Grote Jongerenliteratuur Prijs(「ヤングアダルト文学大賞」)第1回の受賞作は次の2作品。
  • Peter Bekkers, Trouw is de andere wang (De Geus, 2009)
  • Erlend Loe, Muleum (翻訳:Femmigje Andersen-Sijtsma, De Geus, 2009)
2番目の方は要チェック本リスト入り。来年以降は読者の投票による賞も設けられるとのこと。

2010年11月17日水曜日

『通訳』

イタリア人作家による言語をテーマにしたミステリ。物語の語り手、ジュネーブの国際機関の職員ベラミーは、通訳サービスの責任者という新しい任務に就いた。もっとも、ポストを引き受けたのは上司の命令に従ったまでで、彼自身は通訳という職業に根本的な不安感・不信感を抱いていた。
内心わたしは、多言語話者を受け入れることがどうしてもできなかった。なんといっても、いくつものことばを知っていると自慢する連中はほら吹きのように思われた。どんな人間だろうと、たくさんの外国語をわけへだてなくしゃべる能力があるはずがない。あえてそんなことをするのは不健全な行為であり、精神が不安定になるに決まっている。(13ページ)
言語は歯ブラシと同様、各人が自分の物だけを口に入れるべきである。衛生上の、礼儀作法の問題だ。他言語が持つ細菌に感染するのは危険だ。細菌が脳の毛細血管に侵入して本来の体液と混ざり合い、神が予期しなかった混沌が生じたらいったいどうなるだろう。(14ページ)
そんなベラミーは、業務中に異常な行動をとるという通訳について報告を受ける。この通訳は「原初言語」を解明しつつあると主張したが、解雇された。16カ国語を操るこの通訳は、しばらくベラミーにつきまとった後、「形見をうけとってください」と言って失踪する。やがて、ベラミー自身にも通訳と同じ言語障害が現れた。退職を余儀なくされたベラミーは、通訳を追いかけてヨーロッパ各地を転々とすることになる。

物語はベラミーの回想で展開します。穏やかな語り口の間に、苦いというか痛いというか、他人を傷つけることをいとわない要素が混ざってくるのが怖い。意外な結末では、一気に読み進めてきた解放感とあわせて、どこにももっていけない重苦しさも感じました。著者本人がEUに勤務する通訳者で、Europantという人工言語を考案したというのも興味深い。

ディエゴ・マラーニ著、橋本勝雄 訳、『通訳(原題:L'interprete)』、東京創元社、2007年、ISBN: 978-4-488-01648-7.

2010年10月27日水曜日

最近読み終わった本メモ

感想をまとめる余裕がないので、タイトルだけ。

Laurent Graff, Je laatste foto, Nijgh & Van Ditmaar, 2010, ISBN 978 90 388 9296 2.(原題:Il ne vous reste qu'une photo à pendre., 翻訳:Han Meyer)

Hilde Keteleer, Puinvrow in Berlijn, Uitgeverij Vrijdag, 2009, ISBN 978 94 600 1040 8.

オランダ語で読む文学は、読み始めたら基本的に最後まで読むことにしています。が、途中で苦しくなったら別の本に手を出してしまうので、一気に読み終えるということがなかなかありません。この2冊もそんなこんなでページ数のわりに時間がかかりました。

2010年10月19日火曜日

小さく大きい

この1カ月、ゆっくり息をすることもできないようなスピードですぎていきました。

人をおくるのはどこにいてもたいへんで、いないことはこれからしみてくるというのも知っていて。すきまやきしみとはちょっとずつ折り合いをつけていくしかない。わかってはいても、まだまっすぐ向き合えません。

2010年10月6日水曜日

オランダ総選挙:連立交渉が合意

バルケネンデ政権の崩壊から7カ月、6月の総選挙から4カ月たって、ようやく新政権が発足する見通しとなりました。VVD+CDAが少数与党となり、これにPVVが閣外協力をするというかたち。VVDのルッテ党首を新首相に、閣僚人事の調整が本格化しています。

定数150の下院で新政権の議席数は52(VVD:31、CDA:21)、PVVは24議席を有する第3党。政権運営上どうしても必要とはいえ、イスラムの排除を堂々と主張するPVV(というかウィルダース党首)をいかに制御・牽制するかが問われます。特に、歴史に残る党大会を経て連立合意を承認したCDAは、分裂の危機に直面しながらの政権参加。「義をとるか、利をとるか」という選択を迫られて利をとったわけですが、党内の確執がおさまる気配はありません。




2010年9月15日水曜日

おしまいの


And did you get what
you wanted from this life, even so?
I did.
And what did you want?
To call myself beloved, to feel myself
beloved on the earth.

(Raymond Carver, Late Fragment)

2010年9月6日月曜日

新学期

夏休みが終わりました。
今年のお休みはいろんな人と会って話して考える「濃い」毎日で、思ったほど本も読めず。そのかわり、いろんなタネを分けてもらったような気がします。きもちのいい人たちに恵まれていることに感謝。

ちょっとずつまた再開です。