2009年9月25日金曜日

新しい課題

ひさしぶりにブースに入りました。リレー通訳と聞かされていたので始まるまでは不安でしたが、問題なく終わって一安心。みなさんの発言がわかりやすかったというだけでなく、ちゃんと話をしよう、という空気がずっとあったことにも助けられました。

その一方でリテンションが少し弱くなっているのを実感。なんとかする時間は増やせなくもないけれど、この手の案件は最近ぐっと減っているし、目標なしにトレーニングをしても楽しくない。とりあえずまた関連本を読むところから始めようかと。

2009年9月17日木曜日

ちょっと気になるオランダ語:Taal is zeg maar echt mijn ding

4月に出版されてすぐにベストセラーリストに登場、8月には100,000部が出たという話題の本。著者Cornelisseはコメディアン(と言っていいのかな?)でコラムニスト。この本も新聞や雑誌に連載されているコラムを再構成したもの。

テーマはいまのオランダ語、の使われ方。日常的な言葉づかいの中で、ちょっとおもしろいところ、ヘンなところを観察ときどき分析している。オランダのオランダ語の話なので、ベルギーの人はそんなに笑えないかも。ことばの乱れを指摘して、それを正そうとするという流れはどの言語にもあるのだろうけれど、めくじら立てて「正しいオランダ語を!」と言ったりするのとはまったく違う位置から見ているかんじが楽しい。

Paulien Cornelisse, Taal is zeg maar echt mijn ding, Uitgeverij Contact, 2009, ISBN 978 90 254 3049 8.

2009年9月11日金曜日

ゴッホの書簡集 完全版が発売

画家ファン・ゴッホの書簡集にはいろいろな版がありますが、900通におよぶすべての手紙を収録した完全版がVincent van Gogh - De Brieven(フィンセント・ファン・ゴッホ—その手紙)として来月出版されます。

もともとの手紙(オランダ語:600通、フランス語:300通)とその英語訳、注釈に加えて、手紙の中で出てくる作品の写真もあわせて掲載。全6巻、2,180ページというこの全集、英語版とフランス語版も同時に発売されるとのこと。オランダ語オリジナルの定価は395ユーロ。ただし来年1月初めまでは325ユーロの割引価格が適用されるようです。

Leo Jansen, Hans Luijten, Nienke Bakker, Vincent van Gogh - De Brieven, Amsterdam University Press (2009), ISBN 978 90 8964 102 1.

2009年9月7日月曜日

ドキュメンタリー Tokaido

安藤広重が東海道五十三次に描いた地点の今を、ベルギー人のドキュメンタリー作家Luc Cuyversが訪ねたロードムービー。ベルギーの放送局VRT/Canvasで放映されています。東京から京都までを20日弱で旅した様子を1回30分 x 10週で見せているのでどこも駆け足で、おまけその気ぜわしさをあおるようなナレーション。落ち着いて観る番組ではないのですが、なかなかおもしろい。がらんとした街角や見捨てられたような記念碑。ゴミの山。妙にのんびりした雰囲気の朝の乗換駅。観光ガイドブックとは無縁の、特に何もない日本の日々を切り取っていると思います。

番組のサイトはこちら。

2009年8月31日月曜日

夏の終わりに

2週間、文芸翻訳のワークショップに参加してきました。選考の際の試訳提出に始まり、決まってからの課題の準備もかなり大変で、直前まで迷っていたのですが、行ってよかった。思っていたよりずっと濃い時間でした。いろんな人と知り合えたのがまずいちばん。それに、これまでひとりでちょっとずつ固めてきたやり方がそんなに悪くないらしいこともわかって、少し自信もつきました。こんなかたちで日本語とオランダ語を行き来する機会は今までなかったし、あれこれ考え(させられ)つつも楽しい毎日でした。

気がついたことをゆっくり消化して、きもちのよいやり方に取り込んでいきたいです。



2009年8月11日火曜日

フランスからのユダヤ人強制移送:Haar naam was Sarah

1942年7月16・17日、ヴィシー政府はフランス警察を動員してパリ市とその周辺でユダヤ人の一斉検挙を実施。連行した13,152人(12,884人とも)のうち、独身者と子どものない夫婦を先に移送し、親子(男性1,129人、女性2,916人、子ども4,115人)は15区にあった自転車競技場Vélodrome d'hiver(Vel' d'Hiv')に閉じ込めました。水も食料も与えられず、ガラス屋根を通す熱に焼かれる5日間を生き延びた親子は、この後フランスの中継収容所で離ればなれにされ、まず大人だけがアウシュビッツに送られました。約1カ月後には子どもたちもアウシュビッツに到着、全員がガス殺されています。

Haar naam was Sarah(原題:Sarah's Key)は、この史実をテーマにしたフィクション。物語の軸となる人物は、1942年当時10歳のユダヤ人少女サラと、60年後の2002年、パリに暮らして25年になるアメリカ人ジャーナリスト、ジュリア。本の半ばまでは、1942年7月その日の明け方からのサラの体験と、Vel' d'Hiv'についての記事をまとめることになるジュリアの行動が交互に語られます。

サラには幼い弟がいました。警察が踏み込んできた時、この弟は子ども部屋の隠し戸棚に入って動きませんでした。サラは、すぐに迎えにくるからと約束してこの戸棚に鍵をかけ、両親とともに連行されます。一方でジュリアは、取材を進める中でフランス人の夫の家族の大きな秘密に触れてしまうことになります。最近まで夫の祖母が住んでいて、近くジュリアたちが引っ越しを予定している家は、Vel' d'Hiv'で検挙されたユダヤ人の家族のものだったのです。

サラの目を通した描写が終わるところまではかなり引っ張っていかれました。後半、ジュリアの語りだけになってからは前半の静かな力強さが感じられず、母として生きる女性の葛藤、という方向に流れているのがちょっと残念というか、話の展開としてはわかるものの、あまりのれませんでした。でも、久しぶりに一気に読んだ本です。

著者de Rosnayはパリ在住。フランス語での著作はすでにありますが、これが英語でのデビュー作とのこと。

Tatiana de Rosnay, Haar naam was Sarah, Artemis & co, 2007.

[参考:マルセル・リュビー、『ナチ強制・絶滅収容所:18施設内の生と死』、菅野賢治訳、筑摩書房、1998年]

2009年7月28日火曜日

気分よく断る

昨日納期の関係でお断りした案件、今朝別の翻訳会社さんから問い合わせがありました。こちらの予定は同じなので、同じように説明したのですが、どうも納得はしていただけなかったような感触。

先週は先週で、1カ月前に料金その他を提示した後何の連絡もなかったところから電話。追加分の料金を確認したい、というので話し始めたところ、夕方発注すれば翌日にでも納品と考えているらしいことがわかって、それは無理です、と。それならこれから他をあたらないといけない、とかいろいろ言われましたが、欲しい日が早くから決まっているのに1カ月もほったらかしにしている方が問題なんじゃ...。とにかく、提案した方法ではすぐに対応できないことがはっきりしていたので、そう伝えました。

このあたり、何度経験しても、さらっときちんと説明でき(た気にな)るときと、なんとなく後味の悪い気分になるときがあるのが不思議。メールや電話の向こう側の人の力をうまく借りて、お互いきもちよくやりとりを終えられるようになりたいものです。