2009年9月29日火曜日

Jip en Janneke、イランで出版

オランダ語のこどもの本でいちばん有名なJip en Janneke(Annie M.G. Schmidt)のペルシア語版が出たというニュースが少し前にありましたが、実はこの本、原著出版社Queridoとの契約を経ずに出版されていたということです。

オランダ在住の翻訳者は2006年にQueridoに問い合わせのメールを送っていたものの、担当者が産休中でメールは行方不明になった模様。その後翻訳者はイランの出版社にQueridoと直接やりとりして版権を取得するよう依頼し、契約がまとまったと考えていた、とのこと。

今日のde Volkskrantの記事によると、Queridoの担当者はこれから契約にむけて交渉をしたいと述べています。まあこれは当然。ただし、同じコメントの中で、このようなやり方は「プロ意識に欠ける」と翻訳者を非難している点はちょっとずれているような。原著が好きで訳したい/訳したとしても、最終的な版権交渉を翻訳者が個人ですることはめったにないと思います。それに(この短い記事では状況はわかりませんが)、翻訳を出す出版社の方で話を進めているというなら、それを信じるしかないわけで。

そもそも、イランで出版というニュースが出たのは2週間近く前です。その時点でなにもせず、別の新聞が違法出版だったと指摘したことに反応するというのも、いまひとつ理解できません。


2009年9月25日金曜日

新しい課題

ひさしぶりにブースに入りました。リレー通訳と聞かされていたので始まるまでは不安でしたが、問題なく終わって一安心。みなさんの発言がわかりやすかったというだけでなく、ちゃんと話をしよう、という空気がずっとあったことにも助けられました。

その一方でリテンションが少し弱くなっているのを実感。なんとかする時間は増やせなくもないけれど、この手の案件は最近ぐっと減っているし、目標なしにトレーニングをしても楽しくない。とりあえずまた関連本を読むところから始めようかと。

2009年9月17日木曜日

ちょっと気になるオランダ語:Taal is zeg maar echt mijn ding

4月に出版されてすぐにベストセラーリストに登場、8月には100,000部が出たという話題の本。著者Cornelisseはコメディアン(と言っていいのかな?)でコラムニスト。この本も新聞や雑誌に連載されているコラムを再構成したもの。

テーマはいまのオランダ語、の使われ方。日常的な言葉づかいの中で、ちょっとおもしろいところ、ヘンなところを観察ときどき分析している。オランダのオランダ語の話なので、ベルギーの人はそんなに笑えないかも。ことばの乱れを指摘して、それを正そうとするという流れはどの言語にもあるのだろうけれど、めくじら立てて「正しいオランダ語を!」と言ったりするのとはまったく違う位置から見ているかんじが楽しい。

Paulien Cornelisse, Taal is zeg maar echt mijn ding, Uitgeverij Contact, 2009, ISBN 978 90 254 3049 8.

2009年9月11日金曜日

ゴッホの書簡集 完全版が発売

画家ファン・ゴッホの書簡集にはいろいろな版がありますが、900通におよぶすべての手紙を収録した完全版がVincent van Gogh - De Brieven(フィンセント・ファン・ゴッホ—その手紙)として来月出版されます。

もともとの手紙(オランダ語:600通、フランス語:300通)とその英語訳、注釈に加えて、手紙の中で出てくる作品の写真もあわせて掲載。全6巻、2,180ページというこの全集、英語版とフランス語版も同時に発売されるとのこと。オランダ語オリジナルの定価は395ユーロ。ただし来年1月初めまでは325ユーロの割引価格が適用されるようです。

Leo Jansen, Hans Luijten, Nienke Bakker, Vincent van Gogh - De Brieven, Amsterdam University Press (2009), ISBN 978 90 8964 102 1.

2009年9月7日月曜日

ドキュメンタリー Tokaido

安藤広重が東海道五十三次に描いた地点の今を、ベルギー人のドキュメンタリー作家Luc Cuyversが訪ねたロードムービー。ベルギーの放送局VRT/Canvasで放映されています。東京から京都までを20日弱で旅した様子を1回30分 x 10週で見せているのでどこも駆け足で、おまけその気ぜわしさをあおるようなナレーション。落ち着いて観る番組ではないのですが、なかなかおもしろい。がらんとした街角や見捨てられたような記念碑。ゴミの山。妙にのんびりした雰囲気の朝の乗換駅。観光ガイドブックとは無縁の、特に何もない日本の日々を切り取っていると思います。

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